思春期と拒食症 その原因

【拒食症はなぜ起こるの?】

摂食障害には拒食症と過食症があります。なぜこのような病気を発症するのでしょうか。ここでは主に「拒食症」を取りあげてお話ししましょう。昔から若い女性に多くみられる症状ですが、最近では男性の症例も増えています。発症年令も低年齢化して、小学四年生にも事例をみるようになりました。諸説ありますが我々は臨床経験から次のように考えています。

小さい頃は良い子が多い?

拒食症になる子が全員そうとは言えませんが、つぎのような「良い子」に多くみられます。

  • まわりの空気がよめるので、気づかいじょうずな子です。クラスでも人気があったり、友だちからも好かれたりすることがよくあります。我々は「気づかいの女王様」と呼んでいます。
  • どちらかというと素直でやさしい、おとなしい感じの子という印象をもたれています。
  • 頼まれたらなんでも引き受けてくれるし、お手伝いもよくしてくれる良い子です。
  • 自分の欲求や反対したい気持ちを抑えてでも、まわりに合わせるところがあります。
  • 雰囲気を壊さないよう、家族の意見などを優先することがよくあります。
  • 学校では勉強もよくでき、先生の言われることもしっかりと守るので好かれています。

このように一言で言うと「良い子」「育てやすい子」の特徴を持っている子どもが多くいます。しかし必ずしもこの説にあてはまらない子も最近でてきています。母親から「いいえ、やりずらい子でした」という話しもときどき聞かれるようになりました。

思春期のころ本当の自分の芽が出てきて

ところが思春期になると性格が変わってき、これまでの「良い子」とは違う面が出てきます。まわりの人とくに家族から見ると、それはまるでこれまでおだやかだった海面にとがった岩がニョキッと出てきたような印象を受けます。素直だった子が自分の考え方ややり方をはっきりと主張しだしたり、自分の段取りやペースを尊重したい欲求が強くなってきます。性格も思いやりのあるおだやかな子だったのが、きつい激しい面が出てきます。

本人にとっても自分が変わり始めているのはわかるけれど、どう扱っていいかわからない不安な気持ちでいっぱいです。ときにはもやもや、ときにはイライラ。行動の指示をだされると、いままでは素直だったのに自分が納得しないとテコでも動こうとしないきつい面も出てきます。「恵まれた環境でなんにも不満はないのに、なんでこんなにむかついたりするんだろう」と、自分でもわけがわからないといったことがよくあります。

これは本質の自分、大人への自分が次第に頭をもたげてきているのです。いわゆる第二成長期、または反抗期と言われる時期がこれにあたるでしょう。本質の自分の芽が出始めているのです。

かといって今まで持ち続けた「良い子」「素直なやさしい子」のレッテルを自分からはがすことはとてもできません。「K子、このごろ変わってきたね」と言われたりして、友だちに反発されたり離れていかれるのが恐いのです。それに小さい頃から自分を「良い子」だと思いこんでいる両親を悲しませることはできない、という気持ちが強いからです。自分でも新しく出てきた本質の芽を、どう扱っていいかわからなくてとまどっているということもあるでしょう。

もやもや感からダイエットに、やがて「やせ願望」が

子どものころからの自分と新しい本質の自分のズレ、そのズレからくるストレスや窮屈さなどを感じてはいるのですが、自分ではどうしていいかわかりません。新しい自分の操縦術がわからないまま、宙に浮いたようなモヤモヤとした気もちを抱えて不完全燃焼な日々を過ごしています。

そんな心の状態のとき、思春期のころによくある「やせてスマートになりたい」気持ちからやり始めたダイエット。自分の意志で食事を抑えたり選んだりしているうちに、自分の意志で体重をコントロールできる爽快感に気づきます。やせたい気持ちはいつしか「やせ願望」へと変身していきます。主体性をもって取り組める痩身体型の維持にのめり込み、「私の求めていたものはコレだわ!」といった実感をしっかりと握りしめるのです。この願望がしだいに本人を拒食症へと追い込んでいくことになります。

やせる喜びの裏には、悩みもかくされて

しかし最近ではやせることに爽快感だけではなく、悩みを抱えているクライアントの声も聞かれるようになりました。

ダイエットは自分の「やせ願望」を満たしてくれる大事な手段です。どんなことがあっても手放したくない気持ちは強いのですが、「こんなにやせて、私って親に心配かけてるんだ」と自分を責めたり、「学校へ行きたいのに、休まないとダメって言われた」としょんぼりしたり、「大好きな運動、させてもらえない」と残念がったりしている子もいます。

しかし口ではそう言っても、このような思いを吹き飛ばすくらい「やせていられる」ことに強烈な喜びが隠されていることは事実なのです。「太るのだけは絶対いや!」といった気持ちにしがみついているし、これからも手放しはしないでしょう。

生きがいを見つけて、自分らしく生きたい欲求が

拒食症の食を拒否する行為の後ろには、「生きがいを見つけて、自分らしく生きたい」という健全な願望があります。これが後押しをしていますので、元の自分にはなかなか戻ることはできません。自分が成長し、新しい自分らしさを掴むことが解決への道すじです。

捉えようによっては今までの生き方では満足できず、芽ばえてきた「本質の自分を生かした生き方」を見つけていくことを迫られていると言えるでしょう。この目的に向かって努力を積み重ねることが、拒食症からの立ち直りの道を開いていきます。結果的には「食べること」に振り回されず、「今までの自分は仮の自分だったな」と思えるくらい自信が湧いてきたり、「本当の自分に合った生き方はこれだ!」という確信がもてる生活が送れ出すと拒食症から立ち直ったと言えるでしょう。

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